在上海考COJ③ ~「上手い」、だから何だよ~
Special Guest:ちょもす・ヒッキー☆・INA・Uni
エージェント名は全て敬称略。
・《破壊少女シヴァ》とQランカーの想像力
前回のカードレビューは僕が単純に書きたかったってのもあるんだけど、ちょもすって名前のQ3にしてトップブロガーが一生僕に「ブログ書け」って壁撃ちしてきたのも動機として大きい。
実際にこの男は最速でRTしてくれて、最速で感想をくれたんだけどそれは「シヴァがランキングに入ってないからやり直しでしょ」とのことだった。
最初はブログ書けって言っておきながらなんだコイツ、って思ったけど、投稿から1日立ってシヴァの使い方がなんとなく想像できるようになって、
「これどう考えても4点のカードじゃなくて4.5点だし、多分新カードだとブラフマーと並んで強いし書き直したほうがいいのかな」って思ってた矢先にこれが降ってきて僕は発言権を失くす。
ちょもすってトップオタクは僕がヒッキー☆に赤っ恥をかかされたのをいいことに
今ニヤニヤしながら僕に死体蹴りを決めてる最中で、それに関しては結構怒ってるんだけどよくよく考えたら今回の件に関しては完全な実力差だからしょうがない。
《破壊少女シヴァ》に関しては《蠅魔王ベルゼブブ》と比較するんじゃなくて、同時併用を考えなきゃダメだった。これはベルゼに限った話ではなく、併用先は《大魔導士リーナ》でも《統制者ヴィジュヌ》でもいい。《天帝インドラ》はちょっと違う気がするけど。
《裁断のライブラ》とかでベルゼブブと軽量火力カードを併用する概念には到達できてたけど、「ベルゼブブの前にシヴァ」ってのがあっさり頭から抜けてて、COJに関する実力の衰えを感じかけた。上海にいてもCOJのことを考えてる時間はかなり多いのに。
でもよくよく考えたらちょもすもヒッキー☆も僕よりもともと上手いじゃん。僕が下手になったわけじゃないよhahaha。
・・・COJが上手いって、何だ?
それは端的に言って「基礎的な思考を押さえて自分の"型"を持った上で、想像力と柔軟性に優れること」だと思う。
これだけだと説明できた気がまるでしないので、長文を書くためにブログを使う。SS2以上で、「ランクがなかなか上がらなくて困っている」人向け。
「想像力」はそのままだろう。どういう場面でこのカードを使うのか、あるいは使われるのか。そのためにどういうデッキを組むのか。「読み」と「構築」を複合化させた概念と言える。
《破壊少女シヴァ》というカードについて想像する上で、ヒッキー☆は僕よりも多くの盤面や使用方法を想像できていて、その上でいろいろな発言をしているのだろう。
ちょもすもそうだろうと最初は思ってたけどヒッキー☆の入れ知恵であることを本人が告白している。
Verうp前のこの時期は「想像」でしか物事を語れないので、なおのこと「想像力」は重要。3T蠅魔王剣など「定石」はあるものの、それを壊すあるいは一歩上の概念へと押し上げる可能性があるのが《破壊少女シヴァ》。
TLを見ている限りだとおそらく今最も「想像」しにくいカードってのが《創造神機ブラフマー》のような気がする。どう考えても強いんだけど、どうしたらいいのかが人によって違いすぎて結局どうなるかわからない。
情報を発信すれば「想像力」は共有できる。それはCOJ界隈全体にとってプラスに動くだろう。他人を出し抜くことはできなくなるかもしれないけど。
僕がブログを書こうっていう半ば"号令"にも似た何かを発したのは、人の思いつきを広く共有できないかと思ったからだ。「より多く想像できる」ことは上手いこととイコールだと思うけど、「人にない思いつきがある」ことは上手いこととイコールじゃない。
これはDOB更新でも新カードレビューでもそうだと思う。
「型」と「柔軟性」の話をしようと思う。
ここからは僕、あるいはゲストランカーの過去の経験に基づく話で、Ver1.2_EX1~Ver1.3_EX2の話が中心になるけど、Ver1.4以降もきっと有意義なものだと思う。
ゲームセンターにおけるコミュニケーションの推奨、という側面もある。
・人の"型"を学ぶ ~【INAイエロー】というデッキ~
Ver1.2_EX、《絶望の天魔アザゼル》エラッタ後。
【赤黄ミッドレンジ】を中心とした"敵ユニットを除去することで安全を確保する"タイプのデッキを使ってきた僕は
そういったデッキほとんどに有利をつけることが可能な【スピム祈り御供】に悩まされる。
秩序の盾もクソもない時代で、「COJってゲームは先攻取ればガード不能の攻めを展開できるのでは?後攻はどうすれば?」と真剣に悩み、深夜にヒッキー☆他数人と激論したことがある。
【蒼炎ヒトミ・プロメテウス】などのハンデスデッキが相手の攻め手を削っていることは理解できたが、それができない場合に"受け"は可能なのか?
ヒッキー☆と言えば"受け"や"盤面構築"におけるスペシャリストである。「盤面強度という単語はチラシの裏が初出で広めたのがジャンブログと山梨支部」という話まである。
当時からヒッキー☆と僕が友情でも師弟関係でもない、不思議かつ良好な関係にあることは僕らのブログの読者ならわかってくれるだろう(「寿命1年は嘘じゃない②」とか、「こちらはCOJ山梨支部神奈川支部です」とか)。
この議論に参加し、かつヒッキー☆から「彼のデッキを使って教えを乞うといい」と推薦されたのが、当時物凄い速度で全国ランキングを駆け上がっていたINAだった。
【INAイエロー】。INAプロデュースの黄単デッキに付く総称である。
このブログではなるべく身内ネタを使わないようにデッキ名を表記してきたので、過去記事での表記は以下のようになっている。
Ver1.2_EX~Ver1.3:【スペリオルジャッジ】
Ver1.3_EX1(いわゆる《三日天下》型):【黄単コントロール】
Ver1.3_EX2~現在(《アンフェア・タックス》型):【黄単メガバウンス】
原案にはNO-NAMEも噛んでいると言われるが、語感の良さとINAのプレイ頻度からTwitter上では【INAイエロー】の名前で定着した。
現在でこそ落ち着いている(僕がいち早く【黄単メガバウンス】という呼称を始めたせいもあるかもしれない)が、未だに「INAと言えば黄単」というイメージは抜けない。
深夜の激論からほどなくして、僕は秋葉原に遠征する機会を得た。旧セガの地下でINAは僕を見るやいなや「せっかくだから隣でやるかwww」などと気さくなノリで接触してくれて、すぐに打ち解けることができた。
その日は1日中彼とCOJをしていた。INAが僕のセコンドにつくこともあれば、僕が彼のプレイを見ている時もあった。当時J1のINAがSS1の【赤ヒトミデーメーテール】(思いっきりメタ外)に土俵際まで押されて「キツイ」を連呼していた試合は忘れられない。
この時は【スペリオルジャッジ】型の構築がちょうど終わったあたり。【スピム祈り御供】に本質的に有利なデッキとして、これを推薦されたのだ。
【赤黄ミッドレンジ】のように敵ユニットを除去するのではなく、《エンジェルビルダー》《スペリオルドラゴン》《ホーリードラゴン》での"盤面強度による受け"。今まで使ってきたデッキとは似て非なるものである。
1年も前のデッキなので詳しくは書かないが、僕はたった1日でINAから"受け"の概念と【スペリオルジャッジ】のプレイングを仕込まれた。
彼の何が上手いかと言うと、敵の攻撃手段を予測することに非常に長けていたイメージがある。《人身御供》が来るから《エンジェルビルダー》、などなど。
また「環境に少数しかいない不利デッキは捨てる」ことをよく言っていたのもINAである。【スペリオルジャッジ】は流行する【スピム祈り御供】には有利で、【珍獣】系には過剰投入された《弱肉強食》で対応。
《戦神・毘沙門》と《魔導の書》を極端に苦手としたが、主な搭載先である【赤黄ミッドレンジ】が減り、また【スピム祈り御供】や【珍獣】系に効果が薄いので当時は毘沙門が少ない環境だったのだ。【魔導士】と当たった際のサレンダーの早さにおいても、彼は全国区だった。
この日以降、僕は【INAイエロー】をデッキ選択肢の1つとして重用していく。
【スペリオルジャッジ】、《三日天下》型【黄単コントロール】(【魔導師】との複合型含む)、【黄単メガバウンス】全てを合わせたらAP10000は頂いている。
"盤面を返す"のではなく"受ける"という、僕になかったものを頂いた思い入れの深いデッキ群なのだ。
1つのデッキを使い込み熟練度を上げることは重要だ。それは最初の方の「想像力」を含めたスキルアップにおいても、ネット上およびリアルでのエージェントとしての売名においても有意義だと思う。それこそINAはそうだし、【侍】のJenovaなんかもそのタイプだと思う。今JenovaがJやってるかどうか知らないけど。
好きなカードや好きなデッキで戦うことは尊いことだ。それを否定する権利はないんだけど、行き詰まった時にそれに囚われすぎることは決してよくないと思う。
「勝てなくてもいいからこれが使いたい」は別に正しい行動であって止めはしないんだけど、「僕の好きな○○で勝ちたい」が加熱して他に当たり始めるのは絶対に良い方向に向かない。
環境が悪いから「修正しろ」と叫ぶのではなくて、もっと広い視点を持って、別のことをしてみてほしい。それはきっと、「僕の好きな○○」に戻ってきた時にプラスに働くだろうから。
・「型」が融合する時 ~【黄単メガバウンス】は2つある~
Ver1.3_EX2でもっともアツいヒッキー☆ブランドのデッキと言えば【青黄イザナミ】だろう。
その前身である【青黄祈り御供】には、ライフダメージを取るための手段としてアルカナカップ第二回を制した【らすき黄単】から《聖天使ニケ》が導入されていた。そもそも、その【らすき黄単】だってVer1.1期の【黄単毘沙門】とVer1.2期の【黄単ワンショット】のハイブリッドデッキだ。
"受け"を本質としがちな彼は、往々にしてライフダメージを取りにくいデッキを作ることがあった。どこかで、"攻撃"の要素を加える必要があったのだ。彼らしさをそのままにライフダメージの問題を解決した《幽世のイザナミ》が、彼をQ4まで押し上げたのかもしれない。
デッキの本質、という意味でかなり不安定な位置にあったのが【INAイエロー】第三弾の【黄単メガバウンス】だ。
製作者、および採用パーツから見るとどう考えても【INAイエロー】の系列で、つまるところアーキタイプが「コントロール」に分類されそうなものだが、デッキの中核である《ジャンプー》《大天使ガブリエル》が"受け"というよりかは"押し付ける"要素が強く、《アンフェア・タックス》まで含めて「先攻を取られると極めて不快なデッキ」としても名高い。
またINAは「点数が取れない」事態を解決するために《天龍のレイア》を採用するクセがあった。【侍】、というよりかは《三日天下》対策で《玉璽》が標準搭載されることもあり、【スピム祈り御供】あるいは【黄単祈り御供】に近い要素があったとも言える。
【黄単メガバウンス】をどういうデッキと捉えているかというのは《エンジェルビルダー》《ライブオンステージ》、そして《聖女の祈り》の枚数でだいたいわかる。
僕は当初【黄単メガバウンス】を「コントロール」だと思っていた。製作者INAもそのつもりだったと思う。だから、《エンジェルビルダー》が採用される。
【黄単メガバウンス】に関して新たな観点と構築例を与え、「コントロール」ではなくむしろ【スピム祈り御供】に近い「アグロ」デッキと定義したのが、INAと同じ千葉勢のUniである。MOA本戦出場者にしてキャス主・ブロガーとしても積極的な活動を見せる「小さな巨人」だ。顔写真まではフリー素材。
Uniは元々【スピム祈り御供】系統を好んで使うプレイヤーで、"受け"の思考よりも"攻め"の思考に特化しているタイプ。"受け"寄りのINAとは拠点や年齢が近いこともあって仲がいいが、INAに「プレイングの根本が違う」とまで言わしめる。
敵陣に《蠅魔王ベルゼブブ》(《戦神・毘沙門》でもいい)のみがいた場合に、「《エンジェルビルダー》を出して1ターン止めて、横に展開させたところで《戦神・毘沙門》」とするのが従来の【INAイエロー】であり、コントロールの思想。相手の手札消費が多い展開。
Uniの場合はアグロの思想なので、「《ジャンプー》+《天龍のレイア》で1点取り、相手に《蠅魔王ベルゼブブ》を出し直させる。次のターンは《聖女の祈り》から《戦神・毘沙門》」となる。相手へのライフダメージが多い展開だ。
手札、ターン数、ライフ差などでどちらが正解かというのは変動するものだが、どちらを目指すのか、というのは構築時点である程度決まってしまう。
一時期主流だった「《聖女の祈り》入り【黄単メガバウンス】」の正体はこれで、《エンジェルビルダー》が一切入らずそのスロットが《聖女の祈り》に変わる。【スピム祈り御供】や【赤黄ターボ毘沙門】に近い挙動をするようになる。
僕は【黄単メガバウンス】を「コントロール」だと思っていた。INAよりも多く《エンジェルビルダー》を入れていたぐらいだ。
一方、uniによって意図しない方向にデッキが強化されていくのを間近で見ていたINAも、引きずられるようにプレイングを変えていった。プレイにおける"攻め"の意識を従来よりも多くしていた時期だという。
《三日天下》がまだ+3000で、未だ【侍】がTier1として存在していたこの時期は《エンジェルビルダー》で止まる相手がそれほど多くなかった。【赤黄ターボ毘沙門】と同様の戦術を採用できる《聖女の祈り》型の方が、【侍】には強かったと言える。
そんな《エンジェルビルダー》だが、皮肉にも彼が最も活躍するマッチアップは選択除去を多用しBPがそれほど高くない【黄単メガバウンス】同型である。《聖女の祈り》がない分《人の業》が増えたりするので「《エンジェルビルダー》のせいで《大天使ガブリエル》で解決できずに《戦神・毘沙門》」という選択が裏目に出る。
この2つはどちらが改良型、というわけではなく相互互換であったように思える。《聖女の祈り》下方修正で【赤黄ターボ毘沙門】諸共に大打撃を受けたこと、それと《ヘブンズリリー》の登場などもあって、現在はコントロール型が主流と見ている。
INAは当時、「《大天使ガブリエル》+《戦神・毘沙門》という軸自体は変わらないのに、構築とプレイでここまで速度が変わるのは楽しい」と語っていた。
難しいかもしれないけど、リプレイとかで人のプレイを見る時に、"何が上手い"のかを意識して、それを自分の中に取り込めるようになると1個上のレベルに行けるかもしれない。
また、ネット上でもリアルのゲームセンターでもいいから実際に交流を持つと、それは随分やりやすくなる。僕とINAもそうだし、INAとuniもそうだ。ヒッキー☆とらすき、ヒッキー☆とちょもすにも言えるかもしれない。
COJは昨今流行りの多人数vs多人数のゲームじゃないけど、こういったプレイヤー同士の交流はきっとプラスになる。そう信じている。
ブログ書こうっていう"号令"も、最終目的はそこだよ。
・「上手いから偉い」んじゃない、「自分にないものがソイツにある」
この記事を書こうと思ったきっかけは、ちょもすに死体蹴りされて「なんだコイツ俺より上手いからって偉そうにしやがって」と腹を立てたことだった。
「高ランカーが偉そうにしているのが気に食わない」、みたいな意見を最近チラホラ見る。事実、今回のちょもすの1件は相当怒った。壁を殴る寸前まで行った。
そこで冒頭のヒッキー☆のブログでの衝撃を思い出せたことで、自分とちょもすとヒッキー☆を客観視できるようになって、精神の平穏は取り戻した。僕になくてヒッキー☆にあったものを、冷静に考えることができるようになった。
上手いからって偉そうにしていてムカつく、で止まってしまうのでなく、"何が上手い"のか一度冷静に考えてほしい。難しいかもしれないけど。
これはプレイヤーだけじゃなくてカードに関してもそうだ。ヒッキー☆が昔「《ブレイブドラゴン》が出てくると勝てなくてムカつく」の状態から「《ブレイブドラゴン》の何が強いのか」を考えることで、勝率と冷静さを取り戻した案件と似ている気がする。
明日にはVer1.4だってのに、昔話ばっかりでごめんな。
《破壊少女シヴァ》に財布を破壊されたっていう報告を待ってるから。
・余談
自分の欠点や自分の長所ってのは、自分じゃわかりにくい。
現に「真面目系カテゴリでGN電池が最強な理由を考えよう!」とか言われて、当の僕本人がその答えを全く知らない。
だから、「僕コミュ障なんで・・・」とか言ってないで、もっといろんな人と交流した方がいい。1対2になったら、1は多分負ける。多人数ゲーの絶対規則だけど、Jにも当てはまると思う。
僕は残念ながらヒッキー☆と違ってアクセス数とかでドヤしたいタイプの人間なので、「アクセス数が伸びない」という悩みはなんとなくわかる。
マコ☆ちん♂(@makoto3488)みたいな有名人を釣り上げて「拡散してください」って言う戦略について書いてあるけど、実はその対象は僕でもいいらしい。
「よく分かるCOJ」曰く(回線でリンク貼れなくてごめん、応援してます)、僕がRTするだけで1000PV/dayぐらい稼げるらしい。数字出されると納得するしかない。
僕は上海にいる今でも面白いと思ったブログは(回線が元気なら)ガンガンRTしているので、とりあえず1000ぐらいでいい人は僕が釣れるような記事を書くように頑張ってほしい。よい記事が読めると僕も嬉しいのでwin-winです。