COJ阪神支部

旧「COJ山梨支部」。なお、中の人は巨カスの模様。

誰がためにモノを書く

 

 

エージェント名敬称略。

 

 

 ちょもすブログの最新記事が波紋を呼んでいる。

http://chomosh.hatenablog.com/entry/2015/08/07/002106

 

 「初心者の技術向上のための最適なアプローチは『初心者向けブログ』ではない」、という話だ。「初心者が最初に見るであろうCOJwikiの内容の充実を勧める」とともに、「中級者以上への攻略記事には信憑性が必要なので匿名ではキツい」ためにブログがある程度有効であることと、「ブログを書く上での承認欲求はしょうがない。それを満たすためにケツの穴から本音を曝け出せ」というのが、彼の主張だ。

 

 で、これに呼応するように何件か感想記事が放たれるのはめちゃくちゃ面白い流れなんだけど、どうにも本質からズレ始めているのではないかと思うので、こうやってまたキーボードを打ってるわけだよ。どうにもこの案件は、僕とは無関係じゃなさそうだし。

 

 

・COJwikiはRe:BirthしてGroW=Winできるのか

 

 COJwikiという公平かつアクセス数の多そうなサイトをみんなで強化して、初心者の助けにしようというちょもすの理想は確かに偉大で、僕は僕がやってきたブログを書こうっていう運動が間違っていたんじゃないかって本気で思ったんだよね。

(参照:http://gn-denchi.hatenablog.com/entry/2015/05/19/164355

「このゲームのwikiはちょっと弱いから、自然とユーザーブログが情報収集ツールとして有力になっていった」ってことと、「僕は記事を書かなくなるだろうから、誰かにその穴を埋めて欲しい」。この記事で今大事なことはこれだけ。COJの広報はVer1.4から随分頑張っているし、僕が暇すぎて上海にいる今でもブログ書いてることは当時は想像できなかったんだけど。

「COJwikiが弱いという現状に対してそれに真っ向から立ち向かおうとするちょもす」と「COJwikiが弱いという現状に対して逃げ道を提示したGN電池」でどっちがカッコいいかって言われたらそこはちょもすだよ。僕は最初っからそんなことできやしないとどこかで諦めていたんだ。

 

 で、感想記事のひとつに極めて優秀なものがあったので紹介。

http://kodokunocoj.hatenablog.com/entry/2015/08/07/050811

 

 COJwikiの現状が赤裸々に書いてあるのね。これを読んで思ったのは、本当にwiki

改善するには真面目にやる気があるエージェントが大量に必要で、かつ彼らが「みんな仲良く」wikiの改善に取り組み、それでいて彼らへの報酬が何もないという相当過酷なデスロードを強いられる。これを初心者救済の使命感だけで乗り切らないといけない。神話の世界だよこんなの。

 少なくとも僕は回線の都合でPCからwiki編集できなそうだからパスな。最近回線はマシになったとはいえ、はてなブログの投稿ページでさえ開くのほんとキツいんだよ。携帯からはTwitter以上の長文書きたくないし。

 

 ちょもすが語る未来図は確かに理想系なんだけど、そこまで行けるかどうかって点でめちゃくちゃキツそうと言わざるを得ない。僕にも実はwikiを更新していた過去があるが、ページ1個作るのもかなり面倒なのだ。はてなブログ、快適すぎる。

 

 

・ブログと承認欲求 ~誰に承認されるのか~

 

 ちょもすブログへの反応で「COJブログあんてなの連中は大して面白くない」とか「ランカーでもない奴のデッキレシピやプレイング論を見ても何のアドもない」とかめちゃくちゃな拡大解釈してる奴がいるけど、それは多分見当違い。間違っているわけではないんだけど、そこでブロガーを叩いてもしょうがない。ついでにこれの発言がJ1以上に偏ってるせいで、ブログを書いてるJ3あたりが奇妙な反感を持って戦争案件にしたがってるけどそれもそれでよくない。こういったJ3あたりの現役ブロガーは「ランカーが徒党を組んで横柄な態度を取っている」みたいな話をするけど、某いさおなんかを見てるとこのあたりのブロガーが横だけに奇妙な馴れ合いを広げているような気もしていて、それはそれで閉塞的で界隈の発展を妨げているような気がする。

 

 ランカーリプレイでもお馴染みの上位ランカー、”ひききも芸人”くさなぎよわしがボーダーブレイク時代に提唱したのが「童貞神秘論」。イカレきったネーミングだがその内容は思いのほか真面目で、「自分が経験していないことを実践するのは難しい。ゲーマーの強さとは経験値だ」というのが本筋である。なるほど、セックスしたことのない童貞にセックスを語らせるのは難しい。

 

 J1以上のトップオタクにとって有益な情報というのは彼らが今いるオタクマッチングの環境と、構築であれプレイングであれオタクマッチングで生き抜く術である。ただ至極当然ながらこのゲームのランクの分布というのはピラミッドになるので、J1以上のランクが高い人間は絶対数が少ない。そんな絶対数が少ない中で「ブロガー」という特性まで兼ね備えるとなると本当にごくわずかになってしまう。

 COJブログあんてなはその特性上掲載するブログを選別することは容量問題以外ではほぼありえない。当然、J1以上のエージェントのブログなんてものは数が限られる。巡回している体感ではJ2~J4ぐらいが大半のような気がする。体感だからあまり当てにしないでほしいんだけど。

 さてそこで問題だ。J3のブロガーに、J1以上のオタクを唸らせる攻略記事が書けるのか?これは限りなく難しいと言わざるを得ない。オタクマッチングで揉まれたことがないエージェントに、その環境を把握してましてや解説しろなんてのは到底無理な話だ。朝や深夜に唐突にQランカーが襲いかかってきてその片鱗だけでも味わうことはできるかもしれないが、恒常的にそこにいるかどうかというのはだいぶ違う。一定期間J12ルーパーしてたから言えることだが、J1とJ2とJ3というのは数字が1個違うだけで出てくるデッキやプレイング精度は別物になってしまう。それはおそらく、査定が緩和された今でも変わらないだろう。

 だから、トップオタクの皆様には「置いてあるブログが面白くない」のではなく、「自分にとって有益な情報を発信できる能力を持った人間がまず少ない」ことをある程度わかっていてほしい。「みんな仲良く」するためにね。幸いにしてQランカーキャス主は結構いるし、みんな貪欲にTwitterで意見交換しているから、余り困ってはいないんだろうけど。

「書き手の能力を超えた記事を書く事はできない」。これは間違いないと思う。

 

 視点を変えよう。J3やJ4ぐらいから見た時に、今のCOJブログあんてなってのはかなり面白いコンテンツになっていると思う。自分と同じぐらいの能力のプレイヤーが次々と情報を発信していて、「○○デッキをよく使っています」だとかある程度特色化がされている。自分の身の回りの環境を知るにはもってこいの空間になりつつある。

 おそらくこういう情報収集をしていて最も気持ちいい瞬間ってのは、自分よりもちょっと強いプレイヤーが自分にもわかるような解説をしてくれた時なのではないだろうか。自分にない知見が他人からスッと降ってきて、明日からの自分のCOJが少し豊かになる。素晴らしい。麻薬だ。僕もQランカーのブログ・ツイッター・ツイキャスを見て、そういう「自分になかったものを探したい」のだ。これは「初心者向けブログ」のモチベーションにも繋がると思う。そうやって育ってきたので恩返しがしたい。あるいはそういった感動を与えることでチヤホヤされたい。

 しかしこれが雲の上の人間がわけのわからない単語を羅列しているだけだと、何がなんだかわからないので何も面白くなくなってしまう。原則としてトップオタク向けに記事を書いてきた当ブログへのクレームはこれが多い。

 この段落をまとめると、「自分と同格の人間のリアルな情報は基本的に面白い」。また「自分よりも強い人間から知識を得ることは気持ちいい」となる。

 

 COJのブログを書くことで何か承認欲求を満たそうとした場合、APに寄与しない特別なスキルが無い限り自分と同格以下の人間からしかチヤホヤされない。もちろんこれは文才だとか画才だとか常軌を逸したデッキ構築だとかで大逆転する場合もあるけど、上位陣の知識欲ってのはソイツと同格かより上にいる人間にしか満たせない。

結果として、ブログあんてなが作り出すコミュニティというのは横に広がりやすい傾向にある。上から下に手を差し伸べることはできても、下から上に手を伸ばすことが難しい。これを説明するのにうってつけの人物がいて、そいつが書いた傑作ブログがある。

 

 「無理のないCOJ」著者、音代だ。

 

 

・プリンセスの「しんか」

 

 先日、音代はTwitterアカウントを削除した。

 彼は未だCOJやWLWをしているし、ブログ自体も生きているのだが界隈全体に「追悼」の雰囲気が出たのは事実で、また「追悼記事のプロフェッショナル」であるヒッキー☆がどうやら記事を書けないとのことなので、僕が代わりにそれをやろうという意味合いもある。

 音代Twitterの消滅に際してそれを悲しんだ人の大多数は音代よりもAPが下、という傾向がある。特に現J3からSSあたりのブロガーには「信者」と言っても差支えのないような反応を示した人も少なくない。彼より少し下の人間は、音代の格をかなり高見する傾向にある。

 一方、Ver1.1以前を知る古参かつQ4/J1ルーパーを超えてくるような強者の評価はそれほどでもない。「知名度に対して格がついてこない」だのめちゃくちゃな言いがかりをつける。もっとも、これは無理のないCOJや彼自身の能力を彼の実態以上に卑下しているものではないということは後で述べる。ブログ自体は面白いという見方が大半だ。

 人によって、「最強格のブロガー」であったり、「なぜか有名な人」であったりする。情報の伝搬の早いCOJ界隈にとっては、かなり珍しいエージェントだ。

 

 これはおそらく無理のないCOJが「毎日更新」によってR&Dサポーターズの頂点に立つまでの過程において、実はライバルと呼べるブログが全くなかったことに起因するのではないか。

 

 上で紹介した過去記事にも書いたが、R&Dサポーターズ開設当時に本当の意味での「初心者向けブログ」はほぼなかったと言っていい。

 当時はまだCOJブログあんてなはなく、ちょもす製COJあんてなを活用していた時代であり、当時の人気ブログの中の人を洗い出すと

 

・「第一回アルカナキング」

・「全国最高3位」(おっと、2人該当者がいますね)

・「全国2位を含むランカーの大群」

・「COJの『テッペン』」

 

など、APで勇名を馳せる猛者共のオンパレード。初心者向け記事を書くことはあっても、基本的には最上位帯、オタクマッチング内での話が基本になる。少しAPと格を下げて「山梨全1」と「神奈川の怪電波製造機」を加えたところで、この2つも初心者への配慮がほぼない。

 

 そんななかで、「毎日更新」を含めてブログとしての完成度で勝負し、「AP以外の部分でできること」を突き詰めたのが無理のないCOJと言える。

 フラクタリスガール(コズミックブレイク)で自身をキャラクター化し、細かいルール解説や検証、最上位帯ではとても手を出せないマイナーカードの活用など、COJを楽しむという意味でのコンテンツ力はヤケクソに高かった。

 そういう意味で、R&Dの投票数は正直だった。最上位帯ではなく、もっと人数の多い初心者~中級者帯のハートをガッチリつかんだからこそ、APでは手の届かない古参老害どもを薙ぎ倒してCOJ部門の頂点に立ったのだろう。無理のないCOJの「真価」は、当時の初心者にCOJの楽しさを教え込んだところにある。

 

 やがて音代は交流用にTwitterアカウントを作り、askへの返信を始める。ただでさえブログの功績でファンの多かった音代askへの投稿数というのはヤケクソに多く、クソ真面目な彼を「ask返信機」へと変貌させる。そして律儀にaskに答えていく姿は、親しみやすさとなって彼を持ち上げる。自身のキャラクター化にフラクタリスガールを用いたことと、どことなく中性的な文体とPNから女性疑惑もあった彼は(三人称からわかる通り男性なのだが。僕は彼とリアルで会ったことがあります)いつしか「プリンセス」になっていた。「プリンセス」という俗称・通称を誰が最初に使い始めたかは定かではない。少なくとも僕は知らない。自身の意図には関係なく、周囲によってキャラクター付けが確定したらもはや逃れられないのがCOJTL。大量の「臣下」を抱えた彼はそれを裏切ることができずに、自身を「プリンセス」として押し通していく。

 

 彼はブロガーとしてもエージェントとしてもどんどん進化していった。当たり前だ。毎日更新していたら、絶対にブログを書くのは上手くなる。僕が2週間に1回メルキドのゴーレムを倒すRTAをやっている間に、彼はゴーレムを14匹倒すのだ。経験値が違いすぎる。COJにもそれは言えるかもしれない。

途中で《人身御供》にブチ切れて更新中止したりしたけど、【盗賊ハンデス】を完成させてJ1昇格させたあたりで、【盗賊ハンデス】というデッキのヘイトも手伝って、2chに晒されたりask自演疑惑が挙がったりしたところまでは覚えている。気がついたら彼はTwitterから姿を消していた。成長しすぎたが故にアンチが湧いて、それに心優しい彼は耐えられなかった。

 

 良くも悪くも、真面目すぎたという印象だ。「悪い大人」が大半を占めるCOJTLで、彼の存在は極めて貴重であり、故に持ち上げられたが、それが原因でどんどん負荷がかかっていったのではなかろうか。

 

 今なお多い「音代チルドレン」。彼への感謝や尊敬を綴ったツイートを見ると、彼の偉大さはよくわかる。彼の功績は大きいが、そのほとんどが「彼よりもランクの低い人間」のためにあった。なので、彼よりもランクが高かったエージェントは彼を評価しない。僕が今彼に言えることは「もういい、休め」だ。決して「帰ってこい」ではない。多分、帰ってきて彼が得する要素はもう何もない。僕が彼に大して高い評価をしていることは、この文章からわかってほしい。

 

 ただ「無理のないCOJ」の隆盛を見るに、誰に承認されるのか、誰のためのブログなのかというのは、書き手側でコントロールできるはずだと思う。自分よりも上の人間が横柄な態度を取っていようが、下の人間を掬い上げることは可能なのだ。それをやってのけたのが、無理のないCOJだった。

 

 彼は、今、いない。

 

 

・僕の主張

 

「COJwiki再生は確かに理想系だが相当の労力が必要。参加はできないけど応援します」

「書き手の能力を超えた記事を書く事はできない」

「自分と同格の人間のリアルな情報は基本的に面白い」

「自分よりも強い人間から知識を得ることは気持ちいい」

「誰に承認されたいのかということを書き手がコントロールすることは可能だ」

 

 そして、最後にもう1つ。旧記事からの繰り返しになるけど「ブログってのは基本的に自分の城」なのだ。何を書いたっていい。初心者向け記事を作ろうが、日記であろうが。それをやる上でもうちょっと自分に正直になったほうがブログそのものが面白くなるんじゃないのって、ちょもすは言いたいんだと思うよ。間違ってたら申し訳ないけど。生放送終わっただろうし。

 僕の今回のメインコンテンツ見てくださいよ。「童貞神秘論」と「追悼」ですよ。完全にやりたい放題やったなって感じじゃないですか。よわし先生から「童貞神秘論」の使用許可来た時なんかはそりゃもうウキウキですよ。でも伝えたいメッセージはもう上に書いてある通りだし、僕は真面目にこれを書いたんです。多分僕とほぼ同じタイミングでクソみたいな電波飛ばすであろうキリンなんとかって奴と違って、ある程度メッセージ性を込めたつもりなんですよ。

 

 

・今、何をしているのか

 

 僕は今でも上海でブログあんてなを巡回してて、面白いと思ったものは拡散している。僕がブログを書こうっていう号令を発して、それが正しかったかどうかはともかくとしてブロガーがちょっと増えた。有象無象増やしやがってめんどくせえ、みたいな話もあるかもしれないけど、僕はそこから「AP以外の価値を持った人」をなんとか探し出したいんだよ。文才でも、発想でもいいから。時間はかかるかもしれないけどさ。

 

 初心者はいずれ成長して、初心者じゃなくなる。それをどうやってサポートすればいいか上級者が考えるのは無駄ではないと思う。今回音代さん紹介したけど、ブログも多分書き続けるうちに上手くなるよ。今はつまんない奴が3ヶ月後に面白くなってる可能性もあるから、僕はあんてなの巡回を続けてる。

 

 

 

 「みんな仲良く」記念日に間に合わなくてごめんな。