COJ阪神支部

旧「COJ山梨支部」。なお、中の人は巨カスの模様。

【COJE】4/21~5/10シーズン総括

 適当に3点ほど。

 

・「対話」に向かう意思は見せたエラッタ

 

 ヘイト管理だけは几帳面なAC版COJ運営らしいカードパラメータ調整である。時代に置いていかれ始めた感すらあった前Ver最凶カード《鍛冶神の業物》はともかく、現行VerをTCGではなくエクストリームスポーツに変貌させていた《幻想のメロディー》《血染めの夜》のエラッタはとりあえず「なんとかして普通のカードゲームに戻したい」という意思を感じる。

 《血染めの夜》はともかくとして、《幻想のメロディー》はゲーム内での行動を著しく狭めていた。突き詰めるとVer2.1環境は「《幻想のメロディー》をケアして終盤まで(具体的には《明天凶殺》が使えるようになるまで)一切の攻撃を放棄する」、「《幻想のメロディー》を黙認しつつ相手プレイヤーを瞬殺する」、あるいは「《大人買い》などで自傷する」この3つからの選択になっていたのである。今のCOJPで見られるような、ライフ1点をめぐる攻防の積み重ねという光景が見られなくなって久しい。COJの基本的勝利条件である”10ターン目にライフの多い方が勝ち”に対して、それとは真逆の行動を取り続ける奇妙な状況にあったのだ(もちろん、これには”条件が揃えば5点だろうが7点だろうが一瞬で持っていける”《魔天ルシファー》の影響も大きい)。

 【ジーク紫】にしろ【血染め珍獣】にしろ、《幻想のメロディー》は基本的には《ナイトガーデン》と併用される。手札の減らないCPブーストカードの大量投入は”終わることの無い相手ターン”を生み出し、特に《最後の一葉》をも擁する【血染め珍獣】は毎ターンデッキから40枚ドローすることすら可能だった。これはデッキの中に入っているカードを毎ターン使えるに等しいので、全盛期【デスパレ息吹青単】、いわゆるチョビSPと同等の凶悪さと認識していただいて構わない。

 ランダムハンデス、《死神のランプ》、《アルラウネ》・・・何かで干渉しない限り、【血染め珍獣】相手にまともなゲームをすることはできない(《ドーバーデーモン》→《幻想のメロディー》→《ナイトガーデン》なんて流れになるとランプですら怪しい)。更に言えば、【血染め珍獣】や紫系のミラーは「《大人買い》合戦」になることも少なくない。《幻想のメロディー》自体を潰すことは、メタゲームや構築、そしてプレイングセオリーの部分において大きな効果があるだろう。特筆すべきは、《幻想のメロディー》というカード自体に今後もある程度の利用価値を残す修正に落ち着いたことだろう。《ナイトガーデン》でこそなくなったが、《ライブオンステージ》《聖女の祈り》のような感覚で使用可能なので黄系などではまだ使われる可能性がある。

 《血染めの夜》の方は完全な別物になってしまった。【デスパレ息吹青単】のChobiに引き続き、【血染め珍獣】のゆうなぎが運営チームに完勝した形である。そういう流れの中、環境を落ち着かせる上で《鍛冶神の業物》も必要経費ではあったのかもしれない。

 

・対話せずに野球し始めるプレイヤー達

 

 が、運営の努力も空しく、環境には新たな非対話系ぶっ放しデッキが出現。《勝負どころ》をフィニッシャーに据えた【赤単S】が完全に前季終盤を制圧したのである。

 そもそも《夜魔女王リリス》のランダム要素が大きすぎるために”パチンコ”と呼ばれる昨今の赤単系統だが、《花の高原》下方修正後の【海洋赤単】は(【血染め珍獣】がぶっ飛んでいたのもあって)比較的おとなしいデッキとして認識されていた。むしろ【血染め珍獣】を含めた紫系相手にスピード勝負しつつ、他とのマッチアップでも極端な不利を見せにくいことから”丸い選択肢”にすらなっていたのである。だがここにきて《ダウジング》でトリガーゾーンではなく手札そのものでパチンコを始めてしまう上、《勝負どころ》などという《ジャッジメント》と《突撃の合図》を足して割らなかったようなクソカードで試合を終わらせるバージョンが出現。プレイヤーのヘイトは既にそちらに切り替わりつつあるのだ。

 赤単でS、というのは従来では考えられなかったことだが、今回の野球デッキはSデッキとして極めて美しい構造をしている。以前、Sデッキ構築における”抜いてはならない必須カード”と”弱いカードの有効利用法”について記事を書いたが、この【赤単S】は「手札の枚数だけを確保し、弱いカードを強いカードに交換する」という基本構造になっている。

 極端な話、現行赤単の必須パーツは15枚しかない。《デビルウィンナー》、《風紀委員マコ》、《夜魔女王リリス》、《火精フレイミー》、《太陽神ラー》各3枚だ。《勝負どころ》を1回使うにしても16枚で済む。残りはリリスで引けて嬉しい圧縮系ドロートリガーと、進化土台やバットで打ち出すためのなるべく軽めの赤ユニットを敷き詰めればいい。

そんな中、このデッキには《勝負どころ》が3枚も入った挙句圧縮要素に《狂犬の採掘》まで採用されている。手札に大量に溜まっていくバット。1試合中3回どころか2回も使わないので無駄牌もいいところなのだが、それでも《狂犬の採掘》で手札自体は増えている。ここで《ダウジング》(および《ルインリード》)の出番という訳だ。弱いカードが大量に存在する手札で《ダウジング》すれば、弱いカードを捨てる可能性が高い。《夜魔女王リリス》で《ダウジング》を直接挿す分には手札が増えている。《狂犬の採掘》特有の”サーチ対象を引ききってしまったので空撃ちになる”という難点もこれらの手札交換系ドロースペルがなんとかしてしまう。《ダウジング》でリリスやラーを捨ててしまうことを”下ブレ”と呼べる程度には、期待値の高いギャンブルができる構造になっている。

 そして過去記事に書いた”Sデッキは最強行動を繰り返せない”という難点は当の昔に解決されている。《勝負どころ》は1回で人が死ぬのだ。

 今季は《ダウジング》8pt→0pt、《勝負どころ》8pt→2ptと流石に厳しい査定になったが、構築理念そのものは今後にも引き継がれるだろうし、周囲の弱体化のタイミングに合わせて”ペナントレース”はより白熱することが予想される。

 

・今季の簡単なDOB解説

 

赤・・・高倍率で野球するなら《ケロール・レッド》。《海底の楽園》も0pt→2ptなので【海洋赤単】も悪くない。

 

黄・・・《選ばれし者》《オータムロイド》《ダークプリースト》が0pt→2ptで大チャンス。《マジョルカ》も2ptをキープした。8pt帯も優秀。

 

青・・・《封札の死壊石》《蒼花のメイメイ》《冥裁者ラダマンティス》がまとめて0pt→2ptだが環境のスピードについていけないのだろう。8pt帯は《サイボーグ死兵》か。

 

緑・・・4→2の《アルラウネ》、0にまで上がった《星天女アンドロメダ》《創生竜ティアマト》《大いなる世界》を中心にロックデッキとしての地位を確立。一方、この視点で見ると余剰パーツでDOBは取りにくいため倍率自体は下がりそう。多くの相手に刺さる《ユグドラシル》も注目。

 

紫・・・現行構築パターンだと《パイモン》0pt→2ptぐらいしか良いニュースがない。《フェアウェル・ソング》2→4、《ウィキッドヴィーナス》4→8なので大昔の【代償紫】っぽいムーブに活路あり。

 

汎用ドロー他・・・《最後の一葉》が4→0なので各地に影響が出そう。今季注目は4→8の《虚空への回帰》。新たな消滅除去として《豊穣神イシス》が出たので対紫でも2ドローが期待できる。

 

 

 仕事次第では更新頻度を上げれるような上げれないような微妙な状況です。

 ではまた。