COJ阪神支部

旧「COJ山梨支部」。なお、中の人は巨カスの模様。

【ネタバレ】オタク達が『君の名は。』を見ろと言うので見てきた

 

 ここまで言われたので、見てきた。

 

 そもそも最近COJ勢から「電池さんにこそオススメ」とか言って名指しでコンテンツを押し付けられることが多かった。セガルさんから「むちもとじゃダメ、コレはデンさんじゃないと」とか言って『14歳の恋』を押し付けられたら、絵こそ好きになれなかったけど話としてはドストライクだった。最近の僕の周りのオタク共は「なんでか知らんがコイツらは俺を深く理解している」と思っていて、若干の恐怖を抱きつつも『君の名は。』は非常に楽しみにしていた。ちなみに新海誠作品初参戦。『秒速5センチメートル』とかも見てません。

 

 オススメは案の定ピタリとはまり、かなり面白かったので映画代を請求とかはしません。

 

 ただ、できることなら一切のネタバレを貰わずに見て欲しい映画だな、とは思う。普通にSNS見てたらネタバレ見ずに過ごすのは難しいけど、それでも多分何も知らずに見た方がきっと面白い。僕はそれなりにネタバレ食らってから見に行って、ちょっと後悔した。

 

 でも僕がこの映画についてレビューを書こうと帰りの原付に乗りながら構想を練った結果、どう考えても核心部分までネタバレしないと書けそうになかった。可能な限りぼかすように努力はするけど、僕の伝えたいメッセージを伝えるためにはどうしようもない部分がある気がする。なので、嫌な人は即刻ブラウザバックするなりなんなりしてほしい。ちょっと前に出たちょもす版の比じゃないレベルでネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 では、始めます。

 話として浅い順に段落構成したつもりでいます。

 

 

・「入れ替わり」の表現が見事

 

 この話は"瀧くんと三葉ちゃんが不定期に入れ替わる"話なんですけど、"通常モード"と"入れ替わりモード"が一瞬でわかるようになってるので設定を飲み込みやすくて非常に助かった。

 方言の有無、男の体で女仕草、あるいはその逆・・・映像でも音声でもすぐに"今どうなってるのか"が理解できる。映像班はもちろん声優がすげーなと。神木隆之介、ヤバイ。上白沢萌音もこの作品で始めて知ったけどこれから目が離せない感じある。

 

 

・魅力的な脇役

 

 いや、ラブコメって魅力的な脇役がいないと面白くならないと思うんです。ジャンプで言うところの『いちご100%』外村君とか、『To Loveる』猿山君とか、『ニセコイ』舞子君とかですよ。舞子君ほんとすき。

 それを考えた時に、瀧くんと三葉ちゃんの周りには魅力的な友達がたくさんいたなと。特にテッシー。常識的に考えて理解できる要素は1ミリもないのに、三葉ちゃんは友達だからって理由だけで三葉くんを信じちゃうし、そのまま立場や特殊技能まで含めて自分にできるありとあらゆる協力を三葉くんにしてしまう。ノリノリで「これで俺たちも犯罪者だ」って言わねえよ普通。かなり馬鹿だとは思うけど、うまくコントロールできるならこれほど頼もしい友達はいないし、実際友達にしたいでしょこういうヤツ。僕が選ぶベストシーンを挙げろと言われたら、三葉くんとテッシーがグータッチのシークエンスから「俺たち」ってハモるところ。瀧くんとテッシーは、普通に出会ってもきっと親友になれたと思う。

 

 

・最後が説明不足で不完全燃焼

 

 入れ替わりの様子や条件を至極丁寧に描写してくれるように、"入れ替わりの真相・および入れ替わりに伴う双方の記憶への影響"もめちゃくちゃ丁寧に説明してくれる。「物語にとって都合のいいところだけ忘れる」という指摘も「入れ替わりがそもそも夢のようなものだからいろいろなものは忘れていくようにできている(そのためにスマホという記録媒体に記録した)」とすれば納得できる。真相が明らかになるシーンは思わず引き込まれてしまった。

 

 中盤までかなり丁寧にいろんなことを説明してくれるのに、クライマックスに向けてそれがあやふやになっていって、特に「最終的に彗星の日に"何が起こったことになったのか"がわからない」せいで、どうにも不完全燃焼のまま映画が終わってしまった。三葉くんとテッシーとさやちゃんが立てた壮大な計画とは別の方向で彗星案件は解決し、彗星から8年後の三葉ちゃん達がなぜ東京にいるのかもわからない。そう言えば彗星から3年前の三葉ちゃんがなぜ東京に来たのかわからないし、なぜ瀧くんを知っていたのかもわからない。もしかしたら全部夢だったんじゃないか、という解釈すらできそうだ。「後は視聴者の皆様の解釈にお任せします」なのかもしれないけど、ここまで丁寧だったのに最後だけそれじゃあ僕はモヤモヤしてしまう。おかげで泣きそうで泣けなかった。

 彗星から8年後の瀧くん視点で物語は終わるけど、できることならその時代の三葉ちゃん視点が見たかった。多分それで、僕が抱えたモヤモヤは解決する。

 

 でも、最終的にハッピーエンドなので、モヤモヤしつつも「いい映画だったな」と、映画館を後にすることができた。

 

 

・総括 ~理屈で説明できない部分を抱えつつも、「運命」ってことでカタをつけよう~

 

 僕は「運命」ってもんを信じている。「論理的に説明することのできない、第六感的な一期一会」が存在すると信じている。

 彗星から8年後の瀧くんは就活に苦労していたが、思えば僕の就活も「運命」としか言いようがなかった。司くんたちのように周りが内定を出し始める中僕も比較的遅くまでかかった方で、最初は選択肢にも入れなかった遠く離れた地の企業で第六感的に「あ、ここなんとなく好きだな」と思っていたら、それまでの苦労が嘘のように内定が出た。

 恋愛っぽい話をするにしても、大学の同期で競馬好きの友達が「新入社員研修中、職場のエレベーターで競馬好きの女の子と出会ってそのまま結婚した」下りは強烈だった。今日まさにソイツから生まれたばかりの息子の写真がLINEで送られてきたばかりである。

 

 そりゃもちろん現実世界で人格の入れ替わりも起こらないし、多分だけど彗星案件も起こらないけど、それでも人と人の出会いという部分において理屈を超える出来事は存在すると、僕は僕の経験から確信している。

 

 入れ替わりのことなんかとうに忘れた彗星から8年後の瀧くんと三葉ちゃんは、1000万都市・東京のど真ん中で「ずっと何かを、誰かを探している」という違和感だけを頼りに再び巡り逢う。相手の情報はほとんど忘れている(しかも情報を残す最後のチャンスを無駄にした)のに、電車ですれ違い一瞬顔を見ただけで直感的に確信し、双方ともに電車を降りて走り出す。理屈で説明できる部分は一切ない。どう考えても就活よりキツい。でもそもそも"彗星から8年後の三葉ちゃん"の時点で命運を超越しているのだから些細な問題かもしれない。

 

 なんで三葉ちゃんが入れ替わる相手が瀧くんだったのかとか、なんで僕は神木隆之介じゃないんだとかはもうそういう運命だったとしか言いようがない。

 ただ運命的に再会できた瀧くんと三葉ちゃんが、その後幸せな人生を送っただろうことは間違いない。このクソ条件で三葉ちゃんを見つけられるんだから、瀧くんは多分就職もできるだろう。「お前らよかったな」と、僕は今日ポジティブに床に就くことができる。

 

 

 僕は瀧くんになれないし、僕の人生に三葉ちゃんはいない。

 でも、「運命」的な理論を超えた何かをもうちょっと信じ続けようと、勝手に思うには十分だった。

 

 

 いい映画でしたよ。

 

 

 それじゃあまた。